2021 総選挙に思う(上)
今回の総選挙について感じたところを記します。
まず総論として、稀にみる終盤までの激戦でした。
各社出口調査ですら獲得予想数に幅がありすぎ、どれが本当なのか訝る声もネット上で散見されました。
(政策)
・成長政策なき分配主張選挙。嘆息するほどの。選挙に先立つ自民党総裁選でも、成長政策は何ら提示されなかった。
・そのため(候補者に魅力がない場合は)何に投票するか、極めて選択困難な選挙となった。
・「争点なき政治の危機」「争点を作り出すことができない与野党の力量の問題」(日経新聞)
・いまや財源と成長の道筋を示せる政党がない。これは驚くべきこと。
・しかも野党第一党である立憲の政策立案力が致命的に弱い。政調や部門会議で果たして経済(成長)政策を議論しているのだろうか。
・更には脱炭素の具体策を打ち出せる党がない。
・「与野党どちらにも共感できない有権者は少なくなかった」(毎日新聞)
(候補の質、無党派層)
・「聞かせる演説」ができる候補者(とりわけ党幹部クラス)が減った。
中身が薄いか耳障りに感じるか、という演説が多いように感じるのは私だけでしょうか。
・無党派層から見ると投票したい政党がつくづくない。「選択肢がない人の第三極も強く求められている」(友人談)
(維新)
・維新は「復調と表現するのが正確」(田崎史郎氏、2012年総選挙は50議席超だった)という声と
「比例代表は北海道を除く全ブロックで議席を獲得し、全国政党へ大きな一歩」(読売)との評がある。
大阪では候補を立てた小選挙区で全勝。一方、それ以外の小選挙区では兵庫の1議席のみ。
自治体首長を取っている強みが指摘されている。大阪以外への広がりは未だ。
しかし、行き場のない票の一定の受け皿になった、と言うことはできるのかもしれない。
(選挙情勢と世調)
・稀に見る終盤までの激戦。出口調査ですら獲得予想数に幅がありすぎた。
・選挙戦中の世論調査は各社がほとんど外す。その点朝日は比較的正確に予想。他社がほぼ電話のみの調査だが、朝日はネット調査の比率がかなり多い。
(野党選挙協力)
・立憲、共産との選挙協力は大失敗だったと思う(合計96議席 改選前比14減 小選挙区+9、比例区-23)。
立憲は投票先に迷う無党派層に逃げられた。(無党派層の比例投票先 2017:立憲30.9+希望17.9=48,8%→今回:立憲24.6%(共同出口調査2021.10.31))
同時に政権批判票の受け皿になり切れなかった。「コロナ対策等の政権批判層の結構な割合が投票に行かなかったのでは」(山田惠資 時事解説委員)
・選挙協力が政策に与えた影響?
立憲は税制(法人税累進課税)、安全保障政策(共産は安保破棄)で失敗したのではないか。
特に法人税累進課税に腰を抜かした人は多かったのでは?と推測。私自身は目を疑った。
なぜ立憲はこのような公約を作ったのか不思議でならない。政調の機能が著しく低下していると思う。
民間労組には鉄板無敗を誇った現職(立民会派)を下ろすところまで出た。
(愛知11区、「立民は共産と歩調を合わせて大企業に対する課税強化などを主張しており、全トヨタ労連内には『立民はもはや敵だ』との反発も出ている」読売10/25)
(組織の強さ弱さ)
立憲は最後まで競り合った50程度の選挙区を取ることができなかった。
その理由として、報道では以下の党組織の弱さが指摘されている。
県連 :各都道府県で脆弱
候補者:個人後援会ほとんどなし
地方議員:極めて少ない
候補者個人の組織力を増すことの重要性、
地方組織、地方議員、首長を党として有することの重要性を
改めて感じた選挙だった。