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国会質問レポート

Report

2019.5.14 財政金融委員会 質疑


【You Tube リンク】

https://www.youtube.com/watch?v=dfnUnzxa_HA

 

【議事録】

○よろしくお願いします。
今日は、日本の金融機関で保有残高が拡大しているCLOと言われるローン担保証券について、マーケットの概況と各金融機関の保有状況等を中心にお尋ねをします。
ゴールデンウイークの十連休が明けまして、報道テレビ番組等で、新しい令和の時代の日本のマーケットがどうなっていくのかという特集番組を随分やっていました。私も連休明け、そういった番組を見ていたんですが、その中に非常に興味深い番組がありました。NHKの番組でしたけれども、あるイギリスの機関投資家が、連休明けの日本マーケットに対して空売りをすべく、連休直前にこの空売りの発注をしていたと。で、連休が明けてどうなったかと、そういうドキュメンタリータッチの番組をやっていました。
私は、面白いことをする機関投資家がイギリスにいるものだなと思って、ちょっと笑みを浮かべながらその番組を見ていたんですが、番組を見進めるうちに、これはひょっとすると容易ならざる事態になるのかもしれないというふうに認識が少し変わりました。その理由というのがこのCLOなんです。
この機関投資家が東京にやってきまして、有楽町かいわいを歩いている様子が番組で映し出されていたんですが、そのバック、背景にあったのが農林中金、どうやらこの機関投資家、イギリス人の方のようですけれども、この方が農林中金のこのCLOを担当する部署の責任者に会いに行って面談をした、そんな様子もテレビで放映されておりました。
私も今回、このCLOという商品初めて知ったんですが、こちらの配付資料にありますように、これは野村証券のウエブサイトからの引用ですけれども、CLOは、和訳はローン担保証券と。資産担保証券の一種である。金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権、ローンを証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいうと。金融機関にとっては、元来流動性の劣る貸出資産をローンより市場性の高い債券の形態にすることができるので、より機動的に資金を調達することができるというメリットがある。実際には、金融機関がローンを特別目的会社に譲渡し、特別目的会社が債券を組成し、投資家がこれを購入する。そして、ローンからの元利金を投資家が受け取るという仕組みが一般的であると、こういう説明がなされています。
これ、今後のマーケットの状況によってはちょっと注意が必要な事態になる可能性があるのは、世界中で発行されているこのCLOの最大の買手が農林中金だということ。後で詳しくお尋ねをしますが、報道等によりますと、農林中金の今運用資産が約六十三兆円あると言われているんですが、その一割に当たる六兆八千億円をこのCLOで運用しているというふうに言われております。また、全世界で発行されているCLOの発行残高に対して農林中金が保有している割合が約二三%と言われていますので、相当、このCLOの発行会社にしてみると農林中金は最大のお客さんということになると思います。
この辺の事情は、私もいろいろ資料を調べた中で、今年二月十九日付けのウォール・ストリート・ジャーナルの日本版が非常に詳しく、農林中金に密着したレポートを出しています。これを読みますと、去年、アメリカのマーケット、十月から十二月にかけてかなり下落をし、クリスマスイブには暴落をしましたが、明けて今年の一月、アメリカ国内の資金の借り手企業が厳しい状況に置かれた時期が数週間あったと。そのときに投資不適格級企業向けの市場の一部に問題が生じていた。まあ資金繰りができなかったということですね。そこに救世主として現れたのが日本の農林中金だという、こういう書き方でこの記事が始まっています。
こんなフレーズがありまして私はちょっと驚いたんですが、農林中金のCLO市場での影響力の大きさは、不在時、農林中金の不在時に痛感させられる。事情に詳しい複数の関係者によると、提案中の新たなCLO発行案件について農林中金が大口購入を検討していた間、市場は休止状態に陥った。農林中金が交渉の席に着くとようやく市場が動き始め、CLOの大規模発行が進んだという。農林中金はこれに対してコメントを差し控えるとしたともあります。
こうした記事を読んでいますとちょっとあるイメージが浮かぶんですが、どうも農林中金というのは、世界のこのCLO発行マーケットにおいて、日本の国債発行市場における日銀のような存在に近づいていると。保有残高にしても非常に割合が大きいですし、こういう中で、もしこのCLOという商品に万一のことがあった場合、果たして農林中金の財務は大丈夫かと。農林中金の場合は、御案内のとおり国内の各地域の農協、JAから上がってくる資金を一括して運用している組織ですので、ここに万一のことがあれば国内の各地JAにも甚大な影響が及ぶということだろうと思います。
そこで、質問に入りたいと思うんですけれども、まず、これ、金融庁の事務方で結構ですが、このCLOのマーケットの規模がどの程度なのか、また各国別の保有状況はどれぐらいか、教えていただければと思います。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
昨年十一月に公表されておりますイングランド銀行の金融安定報告書によりますと、CLOのグローバルの市場規模は七千五百億ドルと推計されております。また、同報告書では、各国別保有状況につきまして、アメリカの銀行と保険会社で二千五百五十億ドル、英国の銀行と保険で百五十億ドル、英国を除きます欧州の銀行と保険で四百五十億ドル、日本の銀行で七百五十億ドル、その他、国名は示されておりませんけれども、ヘッジファンド、年金基金等で三千六百億ドルと推計されております。

○風間直樹君 ありがとうございます。
次に、この七千五百億ドルのうち、我が国金融機関の個別保有額及びCLO発行残高に対する保有比率を教えてください。

○政府参考人(佐々木清隆君) 今お尋ねいただきました我が国金融機関の個別のCLOの保有額あるいはグローバルな発行残高に対します保有比率につきまして、個別具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
なお、一般論で申し上げますと、金融庁では、CLOを含みます有価証券運用を始めとする金融機関のリスクテークの状況、リスクテークに見合ったリスク管理体制の整備が行われているかなどを日々のモニタリングの中で把握するよう努めております。

○風間直樹君 これは、公表を差し控えるというのは、金融庁としては数字は把握しているんですか。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
今申し上げましたとおり、お尋ねの農林中金含めまして大手の銀行七銀行につきましては、通年検査の対象といたしまして統一的な目線でモニタリングを行っております。
モニタリングの詳細についてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、そのモニタリングの中では、現在の低金利環境下におけます過度な収益追求行動に伴うリスクに対しまして、個々の金融機関の商品への投資状況の把握のみならず、経営陣のリスク認識、リスク管理状況についてもモニタリングを行っているところでございます。

○風間直樹君 ちょっとね、まだ質問をしていないことに先んじてお答えになっているので、きちんと質問を聞いて、それに対する答弁をしてください。二番目ぐらい先の質問に今御答弁いただいたと。緊張されていますか、大丈夫ですか。
数字は把握されているんだろうと思いますが、一応報道資料から持ってきた数字を配付資料に載せました。二〇一八年末時点での国内主要金融機関のCLOの残高。農林中金が六兆八千億、三菱UFJフィナンシャル・グループが二兆五千億、ゆうちょ銀行が一兆円、みずほが五千億、三井住友トラスト・ホールディングスが三千億、三井住友銀行が七百七十五億と。これ、見てみますと、上位三行、農林中金、三菱UFJ、ゆうちょ、この辺の保有額が突出していて、中でも農林中金の場合は群を抜いているということであります。
先に進みますが、金融庁が今年一月に大手七銀行グループに対して一斉調査を行ったというふうに報道されていますけれども、その内容、そして結果についてお尋ねします。
今、先んじて、予告答弁というんですか、していただいた内容を聞いていると、余り詳しくは言えませんよということのようですけれども、言える範囲でお答えください。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
繰り返しで恐縮でございますけれども、農林中金、あるいは今御指摘いただきました大手の金融機関七銀行グループについては、通年検査の対象といたしまして統一的な目線でモニタリングを行っております。
その中で、先ほど申し上げましたとおり、CLOを含みます個々の金融商品に対する投資状況、そしてそれに関連いたします経営陣のリスク認識、リスク管理状況についてモニタリングを行っているところでございます。その中で、個別の数字については言及を控えますけれども、個々の金融機関のこうした投資の実態についても把握しているところでございます。

○風間直樹君 これ、各銀行のこのCLOの管理状況とか保有するCLOの質ですね、格付がされているそうですけれども、さらに、問題が発生した場合の金融システムへの影響について、この辺も当然、調査の中である程度把握をされているんだろうと思いますが、この辺はいかがでしょうか。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
個別金融機関ごとのCLOの管理状況、保有するCLOの質、その詳細についてはお答えは控えたいとは思いますけれども、一般論として申し上げますと、CLOを始めとする証券化商品への投資に当たりましては、商品が複雑であるということに鑑みまして、各銀行において、証券化商品の格付のみに依存することなく、適切な価格評価や商品内容の把握を行うとともに、市場流動性を検証するなど、適切なリスク管理体制の構築が求められていると考えております。
特にCLOは、格付が低い企業向けの貸出しを裏付け資産とした証券化商品と言われておりまして、景気後退局面において、裏付け資産の悪化を通じてCLOを保有する金融機関に損失を与え、金融システムに与える影響のリスクについて国際的にも指摘されているところでございます。
金融庁といたしましては、現時点において日本の金融システムは総体として安定していると考えておりますけれども、CLO投資の拡大がシステミックリスクに発展し、金融システムの安定性が損なわれないよう、内外の経済・市場動向を注視するとともに、先ほど申し上げました点につきまして、金融機関との対話を通じてリスク管理の高度化を促すなど、対応を行っているところでございます。

○風間直樹君 私もかつて商社におりまして、当時は財務省だったのかな、が年に二回ぐらい検査に入るわけですよ。このときのその検査を受ける側の負担の大きさというのはよく分かっています。もう大騒ぎ。当局は、やはり求める資料がきちっと管理、保管されているのかも厳格に調べますし、それに応ずる社員の負担というのは非常に大きいものがありました。ですので、今御答弁はかなり抽象的にさらっといただいていますけれども、一方で、実際、金融庁が各行に検査に入っているときには、こんな答弁ではない、非常に徹底した検査をされているということを私もよく承知をしております。
それで、お尋ねしますが、先日の農水委員会で立憲民主党の藤田議員が同じ問題を質問しました。そのときに、このCLOのリスク管理について尋ねていらっしゃるんですけれども、答弁の中で、農林中金を中心にこのCLOは高度なリスク管理が行われるものに限定して保有しているという趣旨の答弁が複数回ありました。格付が最上位クラスのものに限定しているという答弁もありました。この格付の最上クラスというとトリプルAという格付だそうなんですけれども、当然、農林中金としても、格付機関が発行しているこのCLOに対するトリプルAという格付の意味というのは理解されていると思いますが、これはどういうふうに理解をされているんでしょうか、トリプルAについては。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
格付とは、格付会社が金融商品等の債務履行能力について意見を表明したものでございます。また、一般的に、格付の中でも相対的にトリプルAとは最上位の格付に相当し、信用力が最も高いというふうに解釈されております。

○風間直樹君 それは分かっているんですけどね、誰でも。トリプルAが一番高いわけですから、それは分かっているんですけど、このCLOという商品の場合のトリプルAという格付の意味はどういう意味なのか、それをどのように把握されているのか。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
CLOの各トランシェと申し上げますけれども、その中でトリプルAが付されておりますものにつきまして、これは民間の調査結果によりますと、これまでのところデフォルトの実績はないと認識しております。
ただ、いずれにしましても、金融庁といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、金融機関がCLOに投資する際には、格付のみに依存することなく、商品内容等の把握を行うなど適切なリスク管理体制の構築が求められると考えております。

○風間直樹君 私は、このCLOの質疑をするときに、このCLOという担保証券の個別の中身をきちっと見て精査をしないと、どの程度のリスクがあるかというのは、これ正確には分からないと思っています。
その評価なり審査なりは、まさにその購入をする当事者である国内金融機関が、担当者がしっかりやっているはずなんですが、ただ、マーケットというのは、あのリーマン・ショックのときもありましたように、やはり機嫌でその表情を大きく変えるわけですね。ですから、将来においてマーケットの機嫌が大きく不機嫌の方向に変わった場合、今安全だとされているこのCLOについてもリスクの程度が大きくなることも想定されますので、ちょっとそこをより細かくお尋ねをしたいと思ってこういう質疑をしています。
それで、これはちょっと記事の記述ですが、レバレッジド・ローン、CLOのようなレバレッジド・ローンは、投機的格付企業への貸出しではあるが、日本で例えると東証一部上場企業並みの大企業で、かつ正常先を債務者とするものと。格付機関がそれら債務者やローン条件を確認して債務者格付とローン格付を付与しており、裏付け資産の信用リスクは大きく異なると。これは農林中金のコメントなんですね。
このCLOの性質については、今御紹介した内容だと理解してよろしいでしょうか。つまり、投機的格付企業への貸出しだけれども、日本でいえば東証一部上場企業並みの大企業で、かつ正常先を債務者とするものと、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
CLOは、今御指摘のとおり、信用力の低い企業向けの融資、いわゆるレバレッジド・ローン、これを裏付け資産とした証券化商品でございます。この信用力の低いとは、一般的に投資非適格、すなわち格付でいいますとダブルB以下を指すと言われておりまして、ただ、その投資非適格の企業の中でも、御指摘のような一部上場企業のような企業、日本でいいますとですね、こういったものがアメリカの企業も含まれておるということでございます。必ずしも、従来、金融庁の検査の中で資産査定ということを行ってきておりますけど、その中での不良債権に区分されるということでは必ずしもございません。

○風間直樹君 分かりました。
金融庁が三月に規制の変更をされたということなんですけれども、ちょっとその内容についてお伺いしたいと思います。リスク・リテンション規制も強化したということですが、ちょっと簡単にこの規制強化の内容について御説明いただけますか。

○政府参考人(佐々木清隆君) 今お尋ねのCLOを含めまして、先般の金融危機以降、国際的に金融規制が強化されてきております。その中で、前回の金融危機で問題となりました証券化商品につきましては、その基となる資産の組成者にその一定の割合を促す効果を持ついわゆるリスク・リテンション規制、これを三月末に導入したところでございます。
具体的には、証券化商品の基となる原資産の組成者が同資産の信用リスクの五%を保有していること、この確認を証券化商品等に投資します投資者、金融機関などが確認をするということを求めるものでございます。仮に、その原資産の組成者、オリジネーターが五%のリスク、これを保有していないという場合には、原則、投資する側の金融機関はその証券化商品に対して自己資本比率計算において高い資本を求めると、こういった規制が三月末に導入されているところでございます。

○風間直樹君 分かりました。
そうすると、ローンの組成者、ローンを組む会社そのものが自分が組むローンの五%を保有していない場合は、このローンを購入する人は自己資本の積み増しをしなければならない、こういうことですね。これは一定のリスク管理だろうというふうに理解をいたします。
さて、残りの時間、黒田総裁にもちょっとお尋ねをさせていただきますが、総裁、こういう議論をしていまして、私、非常に隔世の感があるんですけれども、私は総裁に比べて随分若輩でございますし、社会経験もまだ未熟でありますけれども、社会に出て企業に就職したのが一九九〇年でございます。そのとき、私の場合商社に入りましたけれども、財務ですとか資金管理をする部門に配属をされました。そのときにいろいろ見ていて、ああ、なるほどなと感心したことが幾つかありまして、取引先の信用程度について極めて厳格な管理を私がいた企業ではしておりました。信用管理のランキングをまとめた冊子が各課、各グループに一冊常備されていまして、そこに大手町かいわい、丸の内かいわいの日本を代表する企業を中心にずらっと企業名が並んでいて、その企業に対する、私のいた会社が付けている格付が全部並んでいました。
格付によって当然取引できる規模の金額が違ってくるわけですけれども、恐らく今、どうなんでしょう、こういう状況も様変わりしているんじゃないでしょうかね。私は古巣に余り最近行っていませんので詳しい状況は分かりませんが、当時の金利、長期プライムレートで七%から八%の時代でした。ですから、きちっとした与信管理を行って信用程度に基づいて取引をしていれば、企業として痛手を被ることは余りないと。多分、今日質疑をしました農林中金も当時はそうだったろうと思うんです。もう長プラで七パー、八パーあれば十分利ざやは稼げますから、こういうCLOのようなちょっとリスクが高い商品に目を向けること、必要性はないと。
先日、農水委員会での当局の答弁見ていますと、これは金融庁の答弁ですけれども、金融機関の経営については自己判断でやってくれと。まあ当然のことを言っているんですけれども、(発言する者あり)済みません、ちょっと……。

○委員長(中西健治君) 私語を慎んでください。静かにしてください。今質問中ですので、私語を慎んでください。

○風間直樹君 金融庁のこの答弁に見られる姿勢には、低金利の中だけれども、その中で企業が稼ぐための判断は自分でやってしっかり経営してくれと、こういう趣旨のことを言っています。
この委員会でも度々こういう議論が出るんですけれども、果たしてそうなのかなと。やはりこれは、いろんなマーケットの状況ですとか環境がある中で、やはり金融機関の稼ぐ力を決める大本というのは私は金利の状況だろうと思っていまして、それは日銀がやはり金利政策の中で決めている。
今の低金利の中で、農林中金のような非常に運用資産が大きくて、それゆえに運用先を求めてもう苦心惨たんしている、こういったところと、一方で、地方の地銀のように、体力がそもそもなく、低金利で稼げないので、今全国のハローワークに行くと地銀の首を切られた五十代以上の人があふれていますよ。
こういう状況の中で、現在、金融緩和がこのCLOに関して言えば国内各行の投資増につながっているんじゃないかと考えるんですが、総裁の認識はいかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、近年、我が国の金融機関は、国内の低金利環境の長期化もありまして、有価証券運用においてリスクテークを行っております。こうした下で、大手金融機関を中心に今議論になっておりますCLOを含む海外クレジット投資残高は増加基調にあるというふうに認識しております。現状、本邦の金融機関が保有するCLOは、先ほど来の議論でもありましたように、格付が最上位のものが中心であるほか、裏付け資産のモニタリングあるいはストレステストを行うなど、リスク管理は相応にしっかり行っているというふうには認識しております。
ただ、委員御指摘のとおり、昨年秋以降、海外ではクレジット商品の価格が大きく下落する局面も見られておりますので、我が国の金融機関による投資動向についてはやはり今後とも注視してまいりたいというふうに思っております。

○風間直樹君 日銀の金融緩和が国内各行に与えている影響、もう少しちょっと誠実にというか、まあ総裁は誠実でいらっしゃるんですけれども、真摯に目を向けていただいて、御配慮いただくべきかなと思うんですが、その点いかがでしょう。

○参考人(黒田東彦君) 二〇一三年の四月にいわゆる量的・質的金融緩和導入以降、金利を、特に短期金利、長期金利も含めて低位にすることによって経済を活性化し、それを通じて賃金、物価が徐々に上がっていくということを狙いとしてやってきているわけでございます。
そうした下で、デフレではないという状況にはなりましたが、まだ二%の物価安定の目標には道半ばということでありますので、現在の金融緩和を当分持続する必要があるというふうには思っておりますが、他方で、委員御指摘のような副作用というか、同時に金利が低下する、あるいはかなり長期にわたって低金利の状況が続くという中で金融機関の預貸利ざやが減少するというようなことが起こっており、それが特に地域金融機関の収益状況に影響を与えているということはよく認識をしております。
また、今回議論になっておるような、大手金融機関が海外クレジット投資残高を増やしているという状況もよく認識をいたしております。
ただ、現状、地域金融機関も実は三%程度貸出しを増やしておりまして、金融機関の信用仲介機能に影響が出るようなことに今の時点ではなっていないと。ただ、このまま五年、十年と続くと、特に地域における人口減あるいは企業の数の減少といったことを踏まえますと、やはり地域金融機関の収益状況には困難が生ずるおそれがあるということは私どももよく認識しておりまして、この点につきましては、金融庁ともよく連携をしつつ、適切な対応を取っていく必要があるというふうに思っております。
また、大手金融機関のこの……

○委員長(中西健治君) 総裁、申合せの時間が来ていますので、簡潔におまとめください。

○参考人(黒田東彦君) はい。
CLOを含む海外クレジット投資残高自体は増加基調にありますけれども、実はアメリカの金融機関も相当このクレジット投資残高を増やしておりまして、そういう意味では、ある意味で日本もアメリカも、あるいは欧州もそうですけれども、従来に比べるとやや低金利環境が続いているという下で、大手行、大手金融機関を中心にそういったものの投資が増えているというのはかなり一般的な現象のように思っております。ただ、これもよく注視してまいりたいと思っております。

○風間直樹君 ありがとうございます。終わります。

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